家を建てるときには、多くの場合地盤改良工事が行われる。
事前に地質の調査があり、その結果から土地の強さ、建物の規模や形に応じて、いろいろな方法で行われる。
樹造園ではどんな仕事でも、依頼があればまず地図を眺める事をする。
もちろん現場に到着するために、確認することが必要なのだけど、
見積や打合せの前に、色んな地図で現場やその周囲の地形、標高、または地質図、土壌図などをつかって、
山なのか、川の近くなのか、
近くに畑や田んぼがあるのか、
過去はどんな土地だったのか、数万年前は海や川だったのではないか、
周囲と比べて標高は高いのか低いのか、
削って作った土地なのか、盛った土地なのか、
方角や、日照の条件はどうだろう、
どんな土壌なんだろう、
・・・
現場の土を掘ってみると、
硬かったり、柔らかかったり、
水が湧いてきたり、粘土だったり、
地表面だけ見ていてはわからない事がいろいろあって、そこからどうしようとなる。
それは結局何なのかというと、植物を育てるための準備なんだという事。
植物が育たない場合何がいけないかのかというと、
日照条件が合っていないか、
気候が合っていないか、
土壌が合っていないか、
多くの場合それしかない。
日照が合っていない場合、隣地の影になっていたり、建物の北側などそもそも日当たりが悪い場合、
その植物は健康には育ちませんよと、日陰に耐えるような植物を選択します。
逆に日差しが強すぎる場合は、その上に高木で影を作ったり、湿度が保たれるような工夫をしたりします。
気候が合っていない樹木の場合、もちろん育ちにくく、高山の植物や熱帯の植物などでは、愛知の気候は暑かったり寒かったりします。
また、知多半島や三河でも南の方は比較的海も近く、潮風というのが案外育たない原因だったり。
上記の二つは、環境を変える事が困難で、植物選びで気を付けるところです。
しかし最後の土壌に関して言えば極端な話、その場所で植木鉢で育つのであればその環境を庭の土で再現すれば育つはずです。
でも、そこがなかなか難しくて、小さな鉢が庭の土というサイズになった時、土の中で何が起きているかは立って見ていても何もわかりません。
また、土の中の環境はいろんな要因で案外変わるものです。
それは、家やブロック積みで基礎やコンクリート工事をしたり、道路側溝などが深いものになったり、周辺で擁壁工事をしたり。
水の流れる道を遮ってしまうんですね。
昨今の土木や外構工事では、水というものを地表面でしか考えていない事が多く、
地表面の水を舗装の上を流して側溝や桝に入れて処理しようというものです。
外構工事でも、敷地に水が湧いていても、コンクリート土間で駐車場を作って完成。
という現場も見ますが、湧いている水はコンクリートで蓋をしても湧いてきます。
そして、力で押さえつけても基本的に自然には負けるだけでなく、排水に無理が出る分だけ敷地内が湿気ったり、
土間を汚したりするのです。
淡水が多い場所の代表である川を見てみると、中洲とか川の両脇には明らかに水位より低い位置に生えているだろう植物を普通に見ることが出来ます。
それらは別にマングローブのような特殊な樹木でもなく、普通に庭木として植わっているものもあります。
排水が悪い庭と川では何が違うのか、というと水の量が悪いわけではないことが分かります。
それは酸素量です。
マグロのような回遊魚は止まると、酸素の流入が無くなり死ぬと言われています。
でも、泳ぐのと同じ流速の海流がエラを通過すれば、止まっていても酸素は供給されると思います。
植物は動きまりませんから、雨などが地表面から縦や横方向に浸透し流れることで、地中に排泄された二酸化炭素を流し、
そしてその後間隙に空気と一緒に酸素を供給します。
また水や酸素は、土中の微生物や好気性バクテリアの活動にも使われます。
地表面を水が流れて枡などに集められ排水管の中を流れる事と、土中を流れる事は、
人間の生活ではどちらも水が排水された状態ではあるものの、土の中で起きている現象としては雲泥の差であります。
人の体で例えると、水を飲むことと、水を浴びることくらいの違いです。
いくら水浴びをしても、飲まなければ人は死ぬでしょう。
夜露など、長い時間をかけて供給される水分は傾斜があっても流れることなくとどまるので、全てが排水されるわけではありませんが、一例です。
じつは土というのは、植物の生育には必要なくて、必要なものが適切に供給されれば、植物は育つと言われています。
樹木になると、地上部を保持する役割も大きくなりますから、それなりに重量のある土はアンカーとしての役割を果たします。
深部まで畑のようなフワフワの土では、植物も上部を大きくすることは出来ないでしょう。
山などでは、根は硬い層や石などをしっかり抱え込みつかむことで、直立だけでなく、光を求めて横方向にも長く枝を伸ばすことが出来ると思います。
園芸書などでは、石は取り除くような事が書かれることがありますが、今の多くの書籍などにある木の植え方は、農業からきていることも多く、
畑では収穫のため、または耕耘を頻繁にするため、石などは邪魔です。
そして、野菜などは何十年も大きく育てるわけではないので、根がスクスク育ち、すぐに大きくなり、すぐ抜けることが重要です。
でも庭の木はそんなことは無くて、ある程度理想のサイズは欲しいけど、どんどん大きくなっても困るし、すぐ抜けても困ります。
肥料を多く与えて、軟弱な組織が出来ても困るし、それによって害虫が集まったり病気に弱くなっても困ります。
お寺などで古い庭木には庭石などがセットであることも珍しくないですが、石というのが木とは相性が良いとおもっています。
石には夜露などが付きやすく、その水を根に集めてくれます。
石がないところでは風雨にされされたり、踏み固められたり、土壌が固くなりがちなのに対し、
石のある場所の下は、石の設置面積ゆえに、圧力が分散されていたり、先の水が集まる事から土中の微生物の活動が良好で、
良好な土壌が形成されていたりするものです。
年代を考えれば、大きな石の良好な土壌の周りに植物が健全に育つのが順序でしょうが。
なるべく安く、シンプルでモダンなイメージ、コンクリートやアルミ製品のエッジのきいたスタイリッシュな外構、
商品と植木を買ってきて、組み立て施工すれば出来てしまう外構。
でも自然の様々条件や、植物がどうして生きているか、生き物が生きていくために当たり前の知識を全部失って、ただ土に木を埋めるという作業をしてしまう。
樹造園では、植物を植えるのであれば、少しでもいい環境を、甘やかしではなく、力強く生きていける環境を準備したいと思って庭の土と向き合っています。
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