お客様の除草剤の散布によると思われる、庭木の被害がありました。
除草剤について出来るだけわかりやすく説明します。(出来るだけ簡単にイメージしやすく書くので、細かい部分では間違っているかもしれません)
まず初めに、除草剤には「農地用」「非農地用」がありますので、一般的に家の敷地内の庭に使う場合は「農地用」になります。
農地と言うと農業のように畑をイメージすると思いますが、人が任意に植物を育てたりしている庭の場合これも農地になります。
非農地とは、家とは離れた駐車場専用地など敷地内に一本も植物を育てていない用地です(生えているのはすべて駆除する雑草の場合)。
ホームセンターやドラッグストアで、安い非農地用が大量に売られていますが、法律上庭で使用できません。
違反すると3年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
ネットで検索しても、「おすすめ除草剤」などと称して非農地用の除草剤を散布している画像を見つけることが出来ます。
明らかに植木などが有る土地に散布していることから、これは違法行為となりますので注意してください。(撮影者は中身を詰め替えて容器だけ使用していると言い逃れするでしょうが)
メーカーの商品説明にも、写真の商品を植木などある庭で使わないようにしっかり書いてあります。
(なのにこのイラストはどうかと思いますが・・・)
農薬は、適正に使用した場合の安全性などが機関によって認められている一方で、非農地用の「本剤は農薬ではありません」とは、散布した後にどんな影響が出るか検査もしていない(そのぶん商品開発も安く安価に販売できる)ものです。
農地用、非農地用の部分は一応大事な部分なので、簡単ですが書いておきます。
一般的に庭で使用する除草剤には2種類あります。
1.枝葉から浸透して効く液体タイプ
2.地面に撒く粒状タイプ
1.の枝葉から浸透して効くタイプは、薬剤がかかった植物だけに効果があります。
植物に取り込まれた薬剤が、植物の生命活動に異常をきたし、毒殺するものでラウンドアップマックスロードのようなものが代表的です。
上手に使えば、花壇の中の雑草だけのような使い方も出来ます。
その代わりにまだ発芽していない、
種の状態、地上部が無い状態(根だけ)には効果が無いです。
除草剤散布のために作業に伺った際、気をきかせて草むしりをして下さるお客様がいますが、除草剤が効かせられません。
茎の切り口でも効果はありますが、薬剤の付着量が少なくなってしまうので、効きも悪くなります。
希釈タイプ、ボトルから直接撒けるタイプとありますが、お勧めは断然希釈タイプです。
直接撒けるタイプのメリットは、
・直接撒けば使える事
デメリットと言えば、
・薬剤の量に対して値段が割高
・買って運ぶにしても重い
・耐性の強いものに対して濃度を上げられないので効果が少ない
・ボトルの付属のシャワーが荒く、薬液が雑草にうまくかからずほとんど捨てているようなもの。
と感じます。
4リットルの大きな容器の物を希釈タイプなら濃い目の50倍で作っても80mlで済みます。
逆に言えば通常の雑草に使う100倍であれば、500mlのもので50リットルも作れます。
散布は小さい面積ならハンドスプレー、広めなら蓄圧式の噴霧器いずれも安価なものなら2000円以下で買えます。
また、より薬液を付着させたい場合は泡状に噴霧するノズルもあります。
霧状よりも風の影響を受けにくく意図しないところに薬液が飛ばないメリットもあります。
どちらにせよ、雑草にノズル先端を近づける、風のない日を選ぶなど噴霧には気を配りたいものです。
2.の地面に撒くタイプは、通常は何か月間「効果が持続」のようなうたい文句がされています。
「「注意が必要なのはこのタイプです」」
粒剤と液体タイプどちらもあります。
散布した薬剤が、徐々に溶けだしたり、土中に残留して土そのものを植物が生育できない環境にするものです。
土壌を処理するので、まだ生えていない草にも効果が期待できるのが良いところです。
しかし、散布した場所にある雑草だけでなく、庭木の根等にも効果が出てしまう無差別攻撃です。
庭木の根は、地上部の枝葉がある大きさよりもはるかに広く張り巡っている場合があります。
また、隣の家の庭木が地下で根を張っていれば、隣の家の木も枯らしてしまいます。
周囲に枯れてはいけない植物が無い事を必ず確認して使用しましょう。
そして、これのより危険な粒状タイプの除草剤が
このような商品。
「肥料が入ってる!なんか良さそう」
って思った人は要注意です。
そもそも除草剤と肥料を一緒に撒くメリットがどこにもありません。
肥料は植物の状態や、現状の土の状態に合わせて過不足なく与えるもので、やみくもに与えるものではないのです。
芝生用の除草剤はいろいろありますが、
例えば芝なら100まで耐えられるけど、ほかの雑草は50で枯れます。
というような耐性の差で枯らしています。
散布の量によっては薬害が出ると書いてあるのはそのためです。
例で出したラウンドアップやネコソギは、散布した部分の全ての植物を枯らす除草剤でした。
芝生用でははじめて面積当たりの散布量と言ういわゆる農薬らしい記述が出てきますが、これは施用量を超えてたくさん撒けば芝生も枯れるという事です。
注意書きに、高温時は薬害が出やすいとか、年間の使用回数だとか、植え付け直後、芝が弱っているときなど、薬害が出るとかいてあります。
その他にも多くの注意書きがあります。
薬害とは、簡単に言えば弱る、枯れるという事です。
そして当然除草剤なので、
「植木にもダメージがあります。」
作業をするにあたり、
正確に芝の面積を測り、20~40g/㎡と説明にあるので、薬剤の量を測ります。
気温や芝の調子によっては薬害が出るので、それも考慮して量を決めます。
面積当たりに均一に散布を心がけます。
20g/㎥で撒くならば、例えば50㎡で1000g撒くというよりも、1㎥で20gを50カ所のように細分化した方が失敗は少ないと思います。
芝が枯れては元も子もないですから。
除草剤を使う事で、庭の管理など省力化できますが、使い方を誤れば庭の植物に多大な損害を出すことになります。
使用前と言うよりは、購入前に注意書きや施工方法をメーカーのホームページなどから確認しておくことが大切です。
売り場でスマートフォンなどでも確認すると良いです。
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