石畳に続いて、石積みの改作です。
幡豆石で積んで欲しいという事でしたが、もともとの石積みは、幡豆は幡豆でも鹿川(ししかわ)石と言う石で積んでありました。
同じ石材屋が幡豆の別の鉱山で産出しているのですが、鹿川石は一般には幡豆石と呼びません。
一般的な幡豆石が花崗岩で、いわゆる御影石なのに対し、鹿川石は片麻岩で性質もずいぶん違います。
石を取り外すと、裏にはブロックが積んであり、石積みと言うよりはブロックに薄い石がモルタルでくっつけてある感じです。
そしてモルタルは接着が甘く、十分に充填されておらず、簡単に剥がれます。
改作では、モルタルを使わない空積みで行います。
駐車場に対して、庭部分が高低差をつけせっかく高く土が入っているのに、4面がコンクリートで囲まれてしまっています。
隣地とのブロック積み、写真奥の擁壁、建物基礎の3面はしょうがない部分もありますが、今回の石積みの面は今回の工事で改良する余地があります。
なので土留めの目的で設置されたブロック積みも解体です。
モルタルを使った練積みではなく、空積みにすることで石積みの目地の奥行を最大限に見せられるという意匠的な面と、
庭の横方向の通気排水を空積みにすることで得られると考えます。
それによって今後庭の植栽をするときの土壌環境が大きく変化します。
また、空積みの裏込め砕石の下層には、石畳の時に設置した暗渠を延長し、石積みの下の排水も改良していきます。
ブロックのような透水性の低い擁壁では、土中に水がたまると土圧が高まりますが、
空積みと暗渠排水では、水は縦にも横にも移動でき、擁壁に対して土圧を上げる要因になりません。
暗渠を設置後、石を適宜加工し石積み、裏込め砕石と徐々に石積みを目標の高さまで上げていきます。
前面に勾配をつけ、土圧に対して拮抗する方向に傾斜をつけ石を積みます。
積み高が低い空積みのため、重量が無い小さな石は使いにくいですが、なるべく大きな石を使いつつも、意匠程度に小さい石でアクセントをつけています。
また、石の目地を細かい破片などで満たすことで、摩擦を増やし、それぞれの石が重量と摩擦で強固に接合されます。
地震などの揺れに対しては、摩擦が揺れを逃がし、モルタルで固定したようにひびが入ることも無いです。
今の庭は、コンクリート製品や、モルタルなどセメントに頼り、強固に固定することが正しいという風潮ですが、
年数がたったタイルのアプローチや、コンクリート駐車場などは大概ひび割れていたり、ひずみが出て剥がれていたりと、
自身が多い日本においてセメントによる固定は正解とは思えません。
むしろ日本では、寺社建築や城などの石垣のように、古くから何百年と日本の気候や災害に耐え、
部分的な補修や組み直しが可能な柔構造があっていると思うのです。
そして、幡豆石のような花崗岩は吸水率も低く、硬く緻密で人の一代、二代のような年月で風化する物でもなく、
むしろ徐々に風格を増すものです。
石に似せたコンクリート製品や、ブロックなどでは新品の時が頂点で、それ以降は劣化しかありえません。
自然石の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいと思います。
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